-- 医療法人土屋小児病院 -- Tsuchiya Children's Hospital -- 獨協医科大学連携病院  日本アレルギー学会認定教育施設 --


Mで構築された周産期センターDATABASE

Windows NT版(MSM4.3.1/J)への移行経験

 

○田中吾朗1),土屋喬義1),渡辺博2),木村一元3)

獨協医科大学小児科1),同産婦人科2),同医学情報センター3)

 

獨協医科大学 小児科

栃木県下都賀郡壬生町北小林880

TEL 0282-86-1111              FAX 0282-87-2947

e-mail              gtanaka@dokkyomed.ac.jp

 

 当院未熟児部では入院患者DATABASEをM言語(UCD-micro MUMPS)を使用して構築した(198512回大会報告).その後産婦人科の分娩台帳もM(住友電工SP-MUMPS)で作成され機会に,相互のデータの受け渡しをFloppy Diskで行うようになった(199320回大会報告).さらに当院未熟児センターと産婦人科が栃木県の周産期センターに指定されるに際して,MSMを採用、データのやり取りをDDP通信を利用しnet-work経由で行うようにした(199723回大会報告). このnet-workは,周産期センター内での2セットMSM-PC/PLUS-Jを使用して 10Base2 接続という小規模のものであった.そのため,外来・医局・研究室など他部署からの利用は電話接続によらざるをえないという不満があった.学内はインターネットのケーブルが設置されていたので,それを利用したより広範囲のシステムを構築すべく,Windows NT版のMSMに移行することを試みた.この度一定の成果が得られたので,今回はその経験を報告する.

 

MSM for Windows NT 日本語版環境へ移行時の様々な問題点

 

1)       従来のシングルバイト仕様のMSMMSM-PC/PLUS-J)との通信不能。

2)       プリンター使用時の不具合。

3)       大学構内のイントラネット内のルータを越えたDDP接続。

4)       MSM サーバーライセンスの問題

 

クリアすべき問題が山積した。

 

解決策

1)              MSM-Server バージョン 4.3.1/J は 日本のMユーザー待望の、ANSI/MDC X11.1JIS X 3011を含むANSI 標準とJIS 規格として定義された、M言語として発売された。 我々は思い切ってあっさりとシングルバイト版のMを切り捨てる事にした。$$関数を使用していた$L,$C,$P が正しくJIS規格の通りに動作するのは快適である。当然の事ながら日本語の表示、入力は全く問題を認めなかった。

2)              Windows プリンターシステムへの印刷出力の際、全角文字の文字幅が正しく設定されず全角文字に続く半角文字の印字位置が手前にずれ込んでしまい正しく印字出来なかった。これはOpen 時にオプションで文字幅を指定する事により解決した。 次にW ?できれいに位置を制御出来ないという不具合に見舞われた。この解決策としては日本MSMのホームページに記載されているようにssvn ^$DEVICEを用いて直接文字位置を制御する方法が考えられた。しかしこの方法では以前の様に簡単に同一ルーチンを使用して出力デバイスを切り替えることが不可能となり既存のルーチンを書き換える必要性ある。またMの移送にも問題が起こるため採用を見送った。現在の所、印字データをシリアル出力してそれをシリパラ変換しプリンタで印字する方法をとっている。Windows上にテキストファイルとして出力し、それをワープロで印字する方法も検討中である。

3)              獨協医科大学ではネットワークはセグメントに細分化されそれが上流のセグメントに繋がるようにルーティングされている。 このため末端のセグメント同士では通信が出来ず異なるフロア間でネットワーク通信が不可能であった。このためサーバーをイントラネットの最上流に置くことによりサーバークライアント間の通信を可能とした。 ルータ越えの接続はTCP/IPを使用したWorkstation 接続、UDP 接続が使用可能であった。

4)              今回MSM-PC/PLUS-J より MSM for Windows NT J への移行を試みた。残念ながら相互のDDP接続が出来ないため新たな環境にMSM-PC/PLUS-J を参加させることが出来なかった。このため従来と同じ環境を作るためには新たにサーバーのライセンスを購入するかMSM Workstationを導入しMSM for Windows NT の間でサーバークライアント環境必要があった。 今回をMSM Workstationを導入した。しかし慣れた手続き型インタープリター環境よりしかし新たにイベント駆動型のプログラムに作り直す必要があり作業は進んでない。

 

まとめ

 MSM-PC/PLUS-J よりWindows NT版のMSMに移行の際直面した問題点について述べた。周産期センターではいまだMSM-PC/PLUS-Jによるデーターベースシステムを使い続けているが間もなく新システムに移行する予定である。

 MSM for Windows NT 日本語版が発表されて3年が経過している。 その間MSMInterSystems社に買収され以後日本語版の更新は行われていない。 通信環境および印刷に関する問題点は英語版のそれと比べると貧弱でありMの特性を十分に発揮出来ていない。 日本MSM社とInterSystems社の奮起を期待する。