土屋小児病院の院内診療支援システム。
土屋喬義1)2) 田中千恵子1) 駒田智彦1) 木村一元3)
1)土屋小児病院 2)獨協医科大学小児科 3)獨協医科大学情報処理教室
土屋小児病院では医事システムとしてU-MUMPS上で動作する住友電工のアクセルを採用し、これを中心にMSMとDDP接続し、医事システムよりリアルタイムに得られる情報を活用している。 23回Mテクノロジー学会にてこれらを活用した院内検査システム、職員出退勤システムについて、27回Mテクノロジー学会ではVB,MSM(Ver4.4.0),MSM−Activateを利用し、Windows端末よりリアルタイムでの患者数、医師稼働率の表示、薬剤情報の自動発行、入院治療計画書の自動発行、カルテ表書き発行時に病歴、入院歴、予防接種歴などの自動印字を行などについて報告した。
今回、事務会計、棚卸システムを開発した。これはMSM−PDQWebを使用し、MSMよりWebサーバを介するクライアントサーバーモデルを使用した。また同時に職員勤務表作成システムの開発も行なった。 これはGUIを活用したルックアンドフィールを重んじて作成した。HTML、Javaスクリプトの表現力はリアルタイムに動作するワークシートを扱うには困難と考えられたため、Microsoft Accessをフロントエンドに使用しMSM−Activateを介してMSMデータベースに接続した。
事務会計、棚卸システム
病院内では様々な購買案件が日々発生している。 この中には高額で院長の決済が必要な物のあれば、小額で各職員の裁量で決済可能なものまで様々である。小額の購入物件は最終的には伝票の形で庶務→経理を通して把握される。しかしいつ誰が何を購入したかはリアルタイムで把握することは難しく重複購入、亡失の危険性をはらんでいる。また購入者とその上司以外は購入物の把握が難しく他の職員が何を購入したか、それを有効に活用できるかなどの情報を得ることは難しかった。このシステムはこれらの購入物件の購入情報を職員に公開し資源の有効活用を図る目的で開発した。
職員勤務表作成システム
病院の職員特に看護職員の勤務は大変変則的である。当院の場合職員の休日は週7日の内2日と定められており特定の曜日の休日は定められていない。看護職員は日勤、準夜、深夜勤務がある。従来これら23回Mテクノロジー学会で発表した職員出退勤システムを使用しプログラム上で自動判別させていた。しかし就業規則の改定に伴い育児早退、育児遅刻、当院の奨学金を利用している看護学生などの変則勤務の管理が増加し対応が難しくなった。このため勤務予定表を作成しこの勤務予定表と実際の勤務を付き合わせる必要が出てきた。勤務予定表は各部門の主任が完成させしこれをMのデータベースに送り実際の勤務実績と比較する事とした。勤務予定表のデータはスプレッドシート形式で縦横の計算が一目で出来ることを目標にした。このためプレッドシート部分はMicrosoft Accessを使用する事とし、MSM−Activateを介してMと接続している。
まとめ
ウエブブラウザとMSM-PDQWebを使用したMプログラミングは基本的にHTM文、Javaスクリプトを書き出すだけなのでVB, Accessなどの外部プログラムとの通信部分のプログラムを書く必要がないためコーディングは非常に楽であった。セキュリティの注意を怠らなければどのマシンでも使用可能であり、マシン管理の手間を大幅に改善できた。ブラウザ間の互換性の悪さと表現力の低さはまだ使用目的を限定してしまう可能性がある。しかし今後最も有力な表現方法と考えられ今後も活用していきたい。
Microsoft Access, Excel, Word、VBなどの高機能なソフトをMのフロントエンドに使用することはGUIに係るプログラミング時間を大幅に低減させ、有用なプログラムの開発に役立った。しかしこの場合各マシンにクライアント用のプログラムを配布する必要があり、管理上の煩雑さや、Access, Excel, Wordの使用はそれぞれのマシンにライセンスが必要となるためコスト的にも不利であると考えられた。
当院では今後それぞれのクライアントソフトの長所を生かしより有用なソフトの開発を進めて行く予定である。