-- 医療法人土屋小児病院 -- Tsuchiya Children's Hospital -- 獨協医科大学連携病院 日本アレルギー学会認定教育施設 --
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元輝2000年6月 幼児の嘔吐 アセトン血性嘔吐症 土屋小児病院 小児科 山中 みよ子
二歳から十歳位の小児が急に元気がなくなり、嘔吐を繰り返すので診察を受けると、アセトン血性嘔吐症とか自家中毒症とか言われることがあります。この原因、本態は不明ですが、子供の体質や自律神経緊張異常等が関係すると考えられ、感冒・精神的・身体的疲労が誘因となります。ですから、入園・入学の前後・発表会・運動会・遠足の後等に多いようです。 発症し易い年齢は、幼児期から学童期で、思春期以後にはみられません。 症状は、はじめ食欲不振・倦怠があって、突然嘔吐がおこります。吐物は、最初食べたものですが、のちにチョコレートのようになったり、胆汁が混じることもあります。顔面蒼白・ぐったりします。又、体内では脂肪の代謝不全のために、ケトン体(アセトンともいう)という物質が増し、血液が酸性となるので、吐く息が腐ったりんごのような臭いになります。血液中のアセトン増加にともなって嘔吐するので、アセトン血性嘔吐症と言われるのです。 経過は、一般的に良好で、嘔吐も二、三日位で消失し、食欲もでてきます。このようなことは反復しますが、年齢とともに軽くなり、小学校高学年では殆ど起きなくなります。 治療は、水分が飲めれば少しずつ飲ませて、安静にしているだけでおさまります。嘔吐が激しいときには、失われた水分補給のために輸液をします。最近は重症例はなくなりました。 お母さんのなかには、子どもさんが神経質のためではないか、特別な体質ではないかと心配される方がありますが、これはあくまでも子どもの病気で、いずれは起こらなくなるのですから、余りきにしないで時期のくるのを待って頂きたいと思います。又、本人が嘔吐に対して不安を持たないよう、冷静に見守ってあげて下さい。 |